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日本のOmotenashi―外国人が喜ぶ旅館2

日本のOmotenashi

(IHCSA Cafe Vol. 25, January 2010より)


外国人客が喜ぶ旅館


日本を訪れる外国人客が心地よく滞在し、良い思い出を持ち帰れるよう、私たち日本人は何をしてあげられるのでしょうか ― 外国人客を迎えるインバウンドの最前線を取材しました。

東京の下町・谷中(やなか)にある家族経営の旅館「澤の屋」でのおもてなしの配慮や工夫している点などについてご紹介します。




外国語が分からなくても外国人客で起死回生

かつてはビジネス客や修学旅行生で賑わった風呂・トイレ共同の「澤の屋」は、やがてビジネスホテルの展開に押されて、一時は客数ゼロが3日間続いたこともあった。そこで英語もあまりできなかったが外国人を集客する決断をした。外国人向けの予約グループに加盟し、海外で紹介され始めるとたちまち反響があり、起死回生を遂げたのは1983年であった。

当初は、すべてを手探り状態から始め、思いもよらなかった出来事が次々と起こり困惑や苦労の毎日が続いたが、家族が一団となって一つ一つを解決していった。


等身大の取り組みの積み重ね

以前和式だったトイレでは便器の上に用を足されたり、風呂では入浴後に排水されてしまうたびに、“生活習慣が違うのだから仕方がないことであって、問題を起こした人たちに悪気はない”と根気強く乗り越えていった。

当初は2 食付だったが、東京では多彩な料理が食べられることを楽しみにしている人が多く、不要との声が続いたので、夕食は止めることにし、その分料金を値下げした。

情報を集積して、適切に与えることも外国人客が泊まる旅館として大切なので、客室数の割りには多数のパンフレット類が陳列されている。帰国した先客が残していった各国のガイドブックも閲覧できる。パソコン2台が自由に使え、また、客同士で互いの顔が見える規模の旅館だから自ら体験した生の情報が活発にやり取りされている。

コインランドリーの洗剤やアイロンが無料で使え、台東区と提携した廉価なレンタル自転車の貸し出しも好評である。


家族と町が迎えていることが肌感覚で伝わっている

ランドセルを背負う館主のお孫さんが旅館の玄関を元気よく通っていく姿にありのままの生活が垣間見られる。獅子舞、三味線を演じたり、豆まきなど歳時記に合わせた行事を催したり、菖蒲湯・柚子湯もやる。客も日本の家族の日常生活と同じ空間にいることに気づく。家族が迎えていることがセールスポイントになっており、リピーターの半数以上は家庭的な雰囲気を求めて再訪する。

一方、地域で外国人を迎えてもらうための環境づくりも欠かせない。夕食の提供を止めた代わりに、近所の食堂に英語のメニューを用意してもらうよう依頼した。これらの食堂や、銀行、郵便局、病院などを網羅した英語のエリアマップを作成して配っている。また、地域住民と良い関係を築き、町内の花見の宴会、夏祭りの御輿担ぎ、餅つきなどに外国人客が気軽に参加できるようになっている。


外国人旅行客を受け入れる最初の一歩

“英語ができないし、客室も設備も和式のままなので自分たちには不可能だ” と躊躇していたが、始めてみると客との深刻なトラブルは生じなかった。何カ国語もやらなければと心配したこともあったが、ほとんどの国の人が英語で話しかけてくるのでなんとか対応できている。

「言葉ができないという呪文に囚われていると、そこで止まってしまう。日本人客が減って自信が持てなくなっている建物に外国人客を呼ぶ気にならないかもしれないが、新しいものを作らないでください―いまある旅館のままで受け入れてください。」と作務衣姿の澤さんの優しい口調のなかには力強さが込められていた。


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