駐日各国大使館員「山形県庄内ツアー」
駐日大使館員の山形県庄内ツアー
平成24年9月29日~30日、駐日大使2名、ほか大使館員・ご家族8名(のべ5カ国、10名)を山形県庄内地方にお連れして、「山の向こうのもう一つの日本」を紹介するツアーを実施しました(主催:山形県庄内総合支庁・庄内観光コンベンション協会、共催:国際交流サービス協会)。東日本大震災後の風評被害払拭に向け実際に現地を観光して巡ることを通じて感じる安全・安心に楽しんでいただける庄内の魅力を、国内外に広く伝えていただくことを企図して開催しました。
日本の原風景が残る庄内地方は、歴史を有する観光名所、豊かな自然風土、地元の海の幸・山の幸に恵まれ、多くの観光資源が『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』から評価されています。
山形新幹線「つばさ」で新庄駅に降り立ち、まずは緑深い出羽山地を縫って流れる《最上川》を船で下り、庄内地方の2つの中心となる市の1つ酒田市へ向かいました。
米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」が撮影された《NKエージェント》を見学し、かつて料亭として賑わっていた《相馬樓》で酒田舞娘の演舞を楽しみました。《本間美術館》では、良質の材料を用いた京風の精緻な造りが施されている「清遠閣」と、日本各地の銘石や大小の灯籠と時を経た木立の奥深い風情を醸し出す庭園「鶴舞園」で日本の伝統美を鑑賞しました。
かつて「おしん」の撮影でも使われた、約120年前に建てられた堅牢な米の保管倉庫《山居倉庫》――、ケヤキ並木とともに立ち並ぶその景観は米どころ庄内のシンボルです。「庄内米歴史資料館」で庄内米の歴史背景を知り、実際の米俵の重量(60kg)を持ち上げてその重さを実感しました。
日本海が一望できる湯野浜温泉の老舗宿「亀や」では、客室から日本海に沈む夕陽の美しさを雲の切れ間から垣間見ることができました。地元の素材を使い趣向を凝らした料理、地元の日本酒を堪能しました。
庄内地方のもう1つの中心地・鶴岡市の大山地区は品質が優れた日本酒の産地で、「西の灘、東の大山」と称されています。400年にわたる醸造所にある《出羽ノ雪酒造資料館》で、昔から伝わる製造プロセスを見学し、試飲しました。
旧西田川郡役所や多層民家、旧鶴岡警察署庁舎など貴重な歴史的建築物が移築されており、珍しい書院造の庭園も有する《致道博物館》を訪ねた後は、1400年前の開山以来山伏の修験の聖地である《羽黒山》に向かいました。
ほら貝体験をして、山伏の先導の下、魂が清められるミシュラン三ツ星の「杉並木」を通り、「国宝五重塔」を仰ぎました。また、参加者の有志6名はさらに全2446段もの石段の修験道を踏破しました。昼食には出羽三山山麓で採れる旬の山菜や筍を素材にした「精進料理」を食し、羽黒独特のしきたりを守り続けた絶妙な味わいを楽しみました。
広大な敷地に農村、漁村、宿場町などの撮影セットが立ち並んでいる《庄内映画村オープンセット》では、いにしえの日本の原風景の中で、時代劇の世界を体感してきました。
今回のツアーで山形・庄内ならではの観光地を回り、地元の方々と温かく触れあうことができ、参加者それぞれに良い体験・思い出を持ち帰ることができました。当地はたくさんの観光資源を有していますが、まだ多くの方には知られていません。今回のツアーでは外国人にも確実に喜んでいただける素敵な訪問先が充実していることが確認されました。
(このツアーの模様は、「山形新聞」2012年9月30日朝刊、「荘内日報」2012年10月2日朝刊、山形放送のニュースでも報告されました。)