駐日各国大使の愛媛県今治市視察事業を支援
駐日各国大使の今治市視察事業を支援
外務省は平成28年10月17日~19日の3日間、愛媛県今治市との共催で、「駐日各国大使の今治市視察事業」を実施し、当協会もこの事業を支援しました。
一行は、中世に瀬戸内海の東西交通を支配し、現在は日本遺産に選ばれている「村上水軍」の伝統・文化を学び、瀬戸内海の自然に触れるとともに、基幹産業である造船、タオル産業や教育の現場を視察し、地域の理解を深めることができました。また瀬戸内海の雄大な景色を楽しめる来島海峡大橋上でサイクリングを楽しみました。
地域の風土と歴史に根差したタオル産業と伝統芸能を紹介
初日は愛媛県庁において中村時広知事を表敬訪問し、しばしの交流の機会を持ちました。
中村知事も同席された昼食会の後、一行はバスの車窓からの景色を楽しみながら今治市に向かいました。
最初の視察先である今治タオル製造メーカー『コンテックス株式会社』では、今治におけるタオル産業の歴史と、低価格の外国製品との差別化を図るためのブランド戦略「今治タオルプロジェクト」について説明を受けました。高い技術力とそれを発信するブランド戦略で、地域産業が活力を取り戻した興味深い事例を学ぶとともに、工場見学や完成品のタオルを手に取ることにより、今治タオルの良さを実感されたようでした。
サイクリング、村上水軍、中世の武将、それぞれの聖地を訪問
2日目の朝は、サイクリングの聖地『しまなみ海道』のサイクリングを体験し、来島海峡大橋の上から瀬戸内海の景観を堪能しました。
また中世に瀬戸内海を支配した村上水軍の島城があった能島周辺の海峡で、最大10ノット(時速18km)という激しい潮流をボートに乗って体感しました。
午前中の最後には『村上水軍博物館』を訪問し、俗に日本最大の海賊と言われている村上水軍が、瀬戸内海交通の秩序を支え海の安全を守っていた歴史を学びました。甲冑姿で出迎えた高橋剛館長にならって大使一行も甲冑や小袖に着替えると、目を輝かせて記念撮影に熱中しました。
午後には『大山祇神社』を訪問し、樹齢2,600年といわれるご神木など、堂々たる生命力に満ちた楠の林に囲まれた境内をガイドの案内で散策しました。また宝物館には海の神・山の神・戦いの神として、日本中の名だたる武将の崇敬を集めた大山祇神社ならではの、貴重な鎧・兜や刀剣などが展示されており、日本で唯一の女性用甲冑などを熱心に見学しました。
夜には『嶋崎郁外務省儀典長主催の夕食会』が開かれ、菅今治市長および今回一行が訪問する企業等の代表者が出席して、交流を深めました
スケールの大きな造船関連企業と今治の未来を担う学生たち
最終日の午前中は、今治市で最も重要な基幹産業の1つである造船関連の企業を訪問しました。
朝一番には船舶における総合電機メーカー『渦潮電機株式会社』を視察しました。本社正門に到着すると、建物の周りには全員かと思われるほど多くの社員が歓迎の列を作って出迎え、その様子を見た大使一行はとても感激していました。その後ホールにて企業紹介ビデオを見た後、近年同社が輸出用に力を入れている電動三輪自動車を試乗し、最後に工場内を見学しました。
午前2カ所目の訪問地は、海事関連企業500社以上が集積する今治市の中でも、世界のトップクラスに入る造船所『今治造船株式会社』でした。会議室で企業紹介ビデオを見た後、活発な質疑応答が行われ参加大使の興味の深さが伺えました。その後ヘルメットを着用して工場を見学しました。4万トン級の貨物船の組み立てに約3週間しかかからないという説明に、大使が何度も「本当か?」と信じられないといった表情で聞き返す様子が印象的でした。
視察の最後には、『愛媛県立今治西高等学校』を訪れ、生徒代表による和太鼓と書道のパフォーマンス、剣舞、フェアトレードに関する英語のプレゼンなどを見学しました。また生徒の指導でタオルを使った人形作りの体験も行われました。参加大使は終始楽しそうに学生たちと交流し、終了後にはあちらこちらで記念撮影の輪が広がり、いつまでも立ち去り難い様子でした。
当協会は、ツアーの円滑な進行に寄与するため、準備段階から外務省儀典官室と連携し、国内線の予約・調整、宗教などによる食事制限に関するメニューの調整、当日の添乗などの旅行関係業務で支援を行い、駐日外交団の対日理解と地方との交流促進に貢献しました。
参加国:パナマ、ザンビア、グアテマラ、インド、コロンビア、フィンランド、欧州連合(EU)
(6カ国およびEU計9名)